ノベルティを経費にする場合の勘定科目は?シーン別の仕訳例を紹介
ノベルティの制作費用をどんな勘定科目で計上すべきか、悩みますよね。経費であることは確実でも、どの勘定科目が最適か判断するのは、経理の専門知識や実務経験がないと難しいものです。
しかし、よく分からないからといって自己判断で計上してしまうと、何かと不都合が出たり監査で指摘されたりする可能性があるため、注意が必要です。
そこで今回は、ノベルティを計上する際の勘定科目や仕訳例について詳しく解説します。主なシチュエーションごとに最適な勘定科目が分かるほか、ノベルティが期末に余った場合の経理実務についても見ていきますので、ぜひご一読ください。
CONTENTS
ノベルティが経費として認められるパターンは?
ノベルティを制作しても、すべてが経費として認められるわけではありません。経費として認められるのは、営業活動や販促活動など、あくまでも仕事関連の目的で制作したパターンに限ります。
たとえば、単にライバル他社が用意しているからという理由だけで制作した場合などは、経費として認められないことがあるので注意しましょう。また、営業活動や販促活動などが目的であっても、単価が高額すぎる、換金性が高い(商品券・金券など)といったケースは認められない可能性が高くなります。
ノベルティの計上ではどの勘定科目を使うべき?
ノベルティの計上では、実際にどの勘定科目を使うべきか、具体例・仕訳例を挙げて解説します。
ノベルティに使える勘定科目は主に3種類
ノベルティに使える勘定科目は、大きく分けて「販売促進費」「広告宣伝費」「接待交際費」の3種類です。
販売促進費
商品やサービスの購入を促す目的で制作したノベルティは、販売促進費で計上するのが一般的です。たとえば、売上目標を達成するために、販促キャンペーン用に制作した限定デザインのトートバッグやボトルなどが当てはまります。
以下は、一定金額以上の購入者のみに配布するノベルティを100,000円分制作し、普通預金から引き落とされた場合の仕訳例です。
借方 | 貸方 |
販売促進費100,000円 | 普通預金100,000円 |
広告宣伝費
不特定多数の人に企業名や商品名・サービス名を知ってもらうために制作したノベルティは、広告宣伝費として計上します。たとえば、名入れデザインやオリジナルキャラクターデザインで制作したボールペン、ハンドタオル・クリアファイルなどです。
以下は、新商品の販促キャンペーン用ノベルティを100,000円分制作し、現金で全額支払った場合の仕訳例です。
借方 | 貸方 |
広告宣伝費100,000円 | 現金100,000円 |
接待交際費
取引先への贈答品用として制作する場合などは、ノベルティの制作費用を接待交際費として計上できます。たとえば、年末年始の挨拶品(カレンダー・手帳・タオルなど)を制作した場合などは、接待交際費に仕訳をするのが一般的です。
以下は、上得意様向けのお礼品目的でノベルティを100,000円分制作し、普通預金から業者へ振り込みした場合の仕訳例(振込手数料は考慮せず)です。
借方 | 貸方 |
接待交際費100,000円 | 普通預金100,000円 |
【参考】「記念品」はどんな勘定科目を使用する?
創立記念品や周年記念品などの「記念品」は、ノベルティとは勘定科目が異なることがあるので注意しましょう。具体的には、以下を参考にしてください。
・従業員に記念品を渡す:福利厚生費
・取引先に記念品を渡す:接待交際費
・店舗の開店記念品などを不特定多数の顧客に渡す:広告宣伝費
期末に予算が余る場合はノベルティ制作がおすすめ
期末に予算が余る場合は、ノベルティ制作で消化することがおすすめです。ここでは、ノベルティ制作で予算を消化するメリットを詳しくご紹介します。
予算消化の前向きな方法
期末に予算が余った場合の消化方法として、ノベルティ制作はとても前向きといえます。ゆくゆくは会社の利益につながるため、計上する際に厳しくチェックされにくいからです。
予算と時間に余裕があるうちに、ノベルティ制作を進めておきましょう。
高級ノベルティを制作するチャンス
期末に予算が余った場合に、普段なかなか手が出せない高級ノベルティを制作しておくのもよい方法です。高級ノベルティは単価が高いため、なかなか制作に踏みきれないこともあるでしょう。だからこそ、予算が余ったタイミングが制作のチャンスといえます。
たとえば、主要取引先への挨拶目的で高級ノベルティを制作・配布すれば、受注額の増加にもつながりやすく、とても有意義です。
来期の予算削減対策になる
今期中に余った予算を消化しておけば、来期の予算削減の対策にもなります。予算を消化しないと、少ない予算でも問題ないと経営陣に判断されてしまう可能性があります。
一定の予算を確保し続けるためにも、余った予算をノベルティ制作で消化するのは理にかなった方法といえます。
期末に残ったノベルティの勘定科目は?
ここでは、経費として計上したノベルティが期末に残った場合の勘定科目と仕訳例をご紹介します。
残ったノベルティは期末に「貯蔵品」として資産へ振り替える
期中に計上済みのノベルティが使いきれずに残ったら、「貯蔵品」として期末に資産へ振り替えましょう。このとき、仕訳の借方は、残ったノベルティを計上したときの勘定科目を使ってください。
たとえば、広告宣伝費で計上済みのノベルティのうち、50,000円分を使いきれずに貯蔵品に振り替える場合の仕訳例は、以下のとおりです。
借方 | 貸方 |
貯蔵品50,000円 | 広告宣伝費50,000円 |
予算消化のために制作したノベルティも貯蔵品として計上する
予算消化のために制作したノベルティも、期末に残っていたら貯蔵品として資産に計上してください。貯蔵品として計上しないと、来期に不明な資産として残ってしまい、監査時に指摘されることがあります。
特に、期末間際に制作した分を計上し忘れることが多いので、注意しましょう。
ノベルティの勘定科目関連でよくある質問
ノベルティの勘定科目関連でよくある質問に対して、Q&A方式で回答します。ぜひ参考にしてください。
Q1:どうしても勘定科目の仕訳に迷うときは?
A:一時的に「未確定勘定」などの項目で費用計上しておき、期末までに正しい勘定科目に振り替えましょう。
たとえば、制作時に未確定勘定に計上していたノベルティ30,000円分(支払いは普通預金からの振り込み)を、期末に接待交際費に振り替える場合の仕訳は以下のとおりです。
(制作時)
借方 | 貸方 |
未確定勘定30,000円 | 普通預金30,000円 |
(勘定科目が決まったとき)
借方 | 貸方 |
接待交際費30,000円 | 未確定勘定30,000円 |
Q2:販売促進費で計上したノベルティを取引先にご挨拶でお渡しした場合は?
A:取引先にご挨拶でお渡ししたベルティは、接待交際費に当たります。したがって、取引先に配布した分を、接待交際費に振り替えましょう。
たとえば、販売促進費で計上済みのノベルティ10,000円分を取引先にお渡しした場合は、以下のような仕訳になります。
借方 | 貸方 |
接待交際費10,000円 | 販売促進費10,000円 |
Q3:ノベルティの勘定科目がバラバラでも構わない?
A:目的が異なるノベルティであれば、勘定科目がバラバラでも構いません。一方、同じ目的のノベルティをバラバラに計上している場合は、正しい勘定科目に振り替える必要があります。
たとえば、本来ならすべて販売促進費で計上するところを、接待交際費や広告宣伝費でそれぞれ30,000円ずつ計上していた場合は、以下のような仕訳が必要です。
借方 | 貸方 |
販売促進費30,000円 | 広告宣伝費30,000円 |
販売促進費30,000円 | 接待広告費30,000円 |
まとめ
営業活動や販促活動などの目的で制作したノベルティは、経費として計上できます。ただし、それぞれのノベルティの目的に沿った勘定科目で仕訳することが重要です。
まずは、この記事を参考にして、正しい勘定科目を使って経費に計上しましょう。なお、間違えた勘定科目で計上してしまったとしても、期末までに正しい勘定科目に振り替えて仕訳すれば問題ありません。
もしも、期末に予算が余る場合は、ノベルティを制作して消化する方法がおすすめです。ただし、期末にノベルティが残ったら、貯蔵品として資産に計上することを忘れないようにしましょう。